蛍の光 第7回 「珈琲 カブト」

2018-10-21

茅場町「珈琲 カブト」

用事を足したあと周辺をウロウロしていて「おっ、喫茶店があるな」と思ったのですが、どうやらもう終わりのようです。

日本橋兜町に近いので「カブト」なんでしょうね。

いつ終わったのでしょうね。年季の入った終わり方です。ネットにはほとんど情報がなく、2015年3月に町歩きをした方のブログを見ましたが、その時すでに終わっていた模様。
どんな店内で、何がおいしかったのか、当時をうかがい知ることはできません。


「ブ」の濁点の置き所に特徴がありますね。


片付けようとして諦めた感が漂っています。
その気持ち、わかります。


カブトよ永遠(とわ)に…

 

おや、古いラジカセから蛍の光が流れてきました。カセットテープがのびているのでしょう、音が歪んでいます。それではそろそろ、おいとましましょうか。

 

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おじさんのオアシス、ニュー新橋ビルの「喫茶フジ」

2018-10-02

新橋駅前 SL広場に面した、あみだくじみたいな格子状の外観でおなじみ「ニュー新橋ビル」。ここはおじさん達のオアシスであり私のオアシスでもあります。

1Fには「ドキュメント72時間」で密着していた人気のジューススタンド「ベジタリアン」があります。が、土日祝休。私は土日しか来れないのでシャッターが開いた晴れ姿を見たことがありません。そのかわり、もう一軒あるジューススタンド「オザワフルーツ」は土曜日もやっているゾ!

タイルがモダンでかっこいいんですよね。1Fは金券ショップとか、占いとか、うどんそばスタンドなどがあります。

おじさんと一緒に2Fへ上がってみましょう。

2Fに多いのがマッサージ、指圧、整体など癒し系のお店。ほとんど中国の方かな? 女性ばかりなので一瞬「そういうマッサージなのかな」と疑ってしまったのですが、そんなことはありません、普通のマッサージ店です。中国の女の子に足つぼマッサージされながら「イテテテテ」と体をのけぞらせて笑われるのもいいかもしれませんね。

土日祝休でシャッター閉まってましたが、「喫茶室ポワ」もあります。ナポリタンがおいしいんだってさ。

2Fには昭和な雰囲気のゲームセンターもあります。WELとCOMEの間のすきまが気になるね。中をのぞいてみたら、おじいさんが2〜3人しかいませんでした。ここだけ時間が止まっているみたいで不思議な気持ちになりました。

階段もいいでしょ。


3Fはほとんど閉まっていたのですが雀荘は開いていました。モダンなタイルとガラスブロック、すみれ色の天井とダウンライト、雀荘の文字、入り口のマットの赤。くーー!完璧なバランス!

土日祝休で閉まっていましたが「コンセント」というカフェもあります。名前のとおり全席電源完備、無線LANフリー、コピーやFAXが使えてミーティングなどもできるらしいです。さすが新橋って感じですね。

「カトレア」という喫茶店もありましたが、ここも土日祝休でしょうね。閉まっていて残念。

ニュー新橋ビルを完全な状態で楽しめるのは、やはり「平日」なのだと思い知らされます。でも仕方がありません、私は田舎のOL。土日しか都会に出てこられないのです。


さて。喫茶フジです。こちらは地下にあります。

ちょっと見てみるだけのつもりだったので写真がへっぴり腰で看板すら写ってなくて0点です。


銭湯でもないのに奥のど真ん中にどーん!と富士山の写真があるなんて、こんな喫茶店ほかに無いんじゃないかな。バックライトが鮮やかなので、富士山に露出を合わせると他が暗くなってしまいます。もっといいカメラだったらもっと良く撮れるのでしょうか…もっといいカメラ、欲しいですねえ。欲しいですねえ。欲しいですねえ…

ぶつぶつ言いながら私はこの場所を離れ、考えた挙句、神田「エース」で朝食をとったのでした。

いろいろを経て、昼。

恥ずかしながら帰ってまいりました〜!

せっかくだから富士山のふもとでお昼ご飯食べたいじゃないですか。


いいうちわ。「ご自由にお持ち帰り下さい」えっ!いいの!?(持って帰りました)


テレビは「有吉くんの正直さんぽ」。文字放送に設定してあるのがいいね。遠い席の人でも音声が見えますよ。お客さんと店員さんがふつうにテレビの内容について言葉を交わしているのもいい。


らしからぬものを頼んでしまいました。ひときわ推しているように見えた、富士宮焼きそばを。冷え冷えのポテトサラダがつきます。田舎の食いしん坊OLにはちょっと量が控えめでしたが、噛み応えのある麺が楽しくてふつうにおいしかったです!ドリンクとセットで確か850円だったかな。

富士山見れて、落ち着けて、Wi-Fiあって、カウンター席では電源も取れるし、ぼーっとテレビ見ててもいいし、うちわもらえるし、店員さんもなんかいいし、長居しても程よく放っておいてもらえる感じもあり、最高ってこういうことを言うんじゃないの?

ただ、堂々の全席喫煙可!なので、副流煙を気にしすぎる人には向いていないお店かなーと思います。私もかつては喫煙者でしたが、やめてから10年以上経ちます。今後も吸うつもりはないし、例えばおいしいと評判のご飯屋さんへ入ろうとして店内が煙かったら引き返すこともあります。でも、こういう古くて味のある飲食店が喫煙可なのは「知ってて」「それでも」行きます。隣で吸われても「そういうものだ」としか思いません。ついでに言えば、昔ながらの飲食店には丁寧な接客や味すら求めていません。(私がブログで紹介している喫茶店はおいしいですけどね😉)なんか、味や対応がそれなりだったとしても「そういうものだ」としか思わないし、それでいい。古いけれどそのお店が古いまんま維持され、ちゃんと営業しているというそれ自体が貴重なのであって、その内外装の素晴らしさやお客さんも含めた店の空間全体の雰囲気を味わえればそれでいいわけです。

なおかつ味もおいしかったら、それはすごいことなんですよ!私が今まで紹介してきたお店はそういうお店です。

って真面目に語っちゃった!

疲れた人はみんなニュー新橋ビルに行けばいいと思います。喫茶フジの富士山を見ながらまったりしてお腹も心もスマホも充電完了!

「喫茶 フジ」
日祝休

神田「エース」で朝食を

2018-09-28

神田の珈琲専門店エースでございます。

テレビや雑誌等で存在はよく知っているつもりでしたが来店は初めて。
思っていたよりこぢんまりとしている!のが第一印象。
予備知識なしだったとしても「いい店」だとわかる店構え。


モーニングサービスAセット(なんとワンコイン¥500!)にしました。午前中はブレンドコーヒーのおかわり自由だって。いいね。
朝の9時半ごろでしたが、ほぼ満席といっていいくらい混んでいたので店内撮影は遠慮したのですが、すごく愛せる店内でした。隣のお客さんとも距離が近めなんですけど、なんかほっと落ち着ける。置いてあるメニューとか店内に掲示してある手書きの案内もどれも素晴らしく良いのです。一貫した独自の美学を感じて、待っている間じっくり見てしまいました。


これが元祖のりトーストだ!

いいですねえ、いいですねえ。周りの人たちもほとんどのりトーストを食べていました。
8枚切りの食パン4枚にぐるりとお醤油をまわしかけ、焼き海苔をはさんでトーストし、バターをぬりぬり、重ねてカット。4枚重なった状態でいただきます。

「おいしい笑」

食べたことのある人ならわかると思うんですけど、ちょっとフフって笑っちゃう感じなんですよ! しょっぱさがオツなんですよね。思い出しただけでよだれが出てくるなあ。不思議なのが、これが何故コーヒーに合うの!?ということ。お醤油ってカラメルっぽくもあるしバターがつなぎの役割を果たしているからかな。しかし海苔は海のものですよ。普通で考えたらあんまり合わなそうなのに、合う。きっと絶妙なバランスで成り立っているトーストなのだと思います。家で作ってもこうはいかないんだろうな。


ローストビーフサンドも気になるし、世界のコーヒーにも惹かれます。来るたびに楽しみが広がりそうなお店だなあ。


ドーナツもおいしいらしいので次回はティータイムに行こう!

 

神田「珈琲専門店 エース」
月〜金 7:00〜18:00
土 7:00〜14:00
日祝休

 

 

 

アチチ・アチ! 盛岡『モンタン』の「ア・ラ・モンタン」

2018-09-21

お盆休み中の暑い日、自分が出品しているZINEのイベントのため盛岡へ。

同じく出品者である二人の友人とともに、昼食をとろうとお気に入りの焼肉店へ行ってみたものの、大混雑。ダメだコリャ…昼食難民となった我々は暑い中ふらふらと盛岡の街をさまよいます。

桜山神社付近を歩いていると、以前からあるのは知っていながら特に気に留めたこともなかった「モンタン」の文字がやけにチラチラ。なんとなくコーヒーとケーキぐらいしかないお店だろうと思い込んでいたけれど、表の看板には「盛岡名物 当店オリジナル トマトスープのスパゲッティ 元祖ア・ラ・モンタン」と書かれてある。盛岡名物ねぇ。中の様子はいまいち見えない。どうする、アイフル。

入るしかない…私たちは暑さと空腹にやられていました。緑地に白の「モンタン」の四文字がひらひらと手招きして見えたのです。

「いらっしゃいませ、お二階へどうぞ」。お二階があるのだ。あがってみると意外と広い。そして何組かお客さんがいる。閑古鳥は鳴いていませんでした。

サッと見回して、特にこだわりのなさそうな「なつかし系の喫茶店だな」と感じました。80年代で時が止まっているようです。あだち充の漫画の中に主人公行きつけの店として出てきそう。マスターはティアドロップ型のデカ眼鏡に口ひげ、デニムのエプロン。ちょっとドジでつり銭間違えちゃうタイプだけど憎めないキャラ。主人公があらたまって悩みを相談するとわりと的確なアドバイスをくれる。(※妄想です)

さて。メニューを見ながらひとしきり悩んだあと、決めました。挨拶代わりに、やはり名物をいただかなくては!

「ア・ラ・モンタンと…アイスコーヒー」と言おうとしたら、店のおじさんは「アイスコーヒー」の部分をかき消すように「あとで小さいウンタラカンタラ…(早口)」と言い残して立ち去ってしまいました。

「食後に小さい飲み物がサービスでつくんじゃないの?」と友人談。そうだといいんだけど。

 

ふざけて写真などを撮っていたら、料理が運ばれてきました。

これが盛岡名物「ア・ラ・モンタン」だ!
涼しげなガラスの器。暑い日にぴったりですねえ。
料理写真を見て「ガラスの器だから冷製かもしれない」と安易に考えた私は、事前にあまり詳しく聞き込むこともなく、まあどっちでもええわとオーダーしてみたのです。

結果、アッツアツのやつが来ました🔥(冷たいのもあるようですが、基本はこれ。)

麺は、早くしないとのびちゃうよ!という柔らか太麺。アルデンテという概念は存在しません。おぅおぅ、これこれ、なつかし系喫茶店の感じが出てる〜!アチチッ。 麺が香ばしいのは茹でただけじゃなく炒めてあるからかな。うぉ熱っ。にんにくの香りが効いた、じわりと辛味のあるトマトスープにたっぷりチーズ。いい味してる〜。はふはふ。

汗をぬぐいながら食べすすめていくうちに「なるほどこれは名物だ! ふーふー」という気がしてくるから不思議だ。どんどんクセになっていく味なのです。

っていうか、ずっと熱いのですが!!全っ然冷めない!!

ああ、ア・ラ・モンタン、ア・ラ・モンタン。あなたは一体なんなのでしょう。元気が出ます、不思議です。なんだかよくわかんないけど、うまい。なんだなんだと思いながら結局ほとんどスープを飲んでしまいました。きっと盛岡っ子に昔から愛されてきた味なんだろうなあ。時々むしょーに食べたくなりそうだもん。

 

ふう…

「小さいウンタラカンタラ」が来ました!
お冷のグラスにアイスコーヒーが入ってます!笑
実際このぐらいでちょうどいいんだよね。うれしいサービス。
(※食べ終わったあたりで若い店員さんが「サービスでコーヒーがつきます。ホットとアイスどちらがよろしいですか?」と聞きに来ます。コーヒー以外はなさそうです)

なんだかんだでモンタンを満喫してしまいました。

窓からの眺めもいいし、昼の混雑時をずらしてゆっくりするのに大変よさそうなお店だと思います。

 

モンタン
10:00~21:00
日休(例外あり。桜満開の時期は日曜も営業)

 

 

愛はトーストのように 珈琲店「愛養」(築地)

2018-08-30

暑い日。

長野陽一さんの写真や、いろんな方々のインスタ写真などを見ては、いつか行ってみたいと思っていた場所、築地の「愛養」へ。世界の貝のメンバー、品口回と行きました。


ちょうどいい席が空いていてよかった。
アイスミルクコーヒー。

マスターに甘さをどうするか聞かれるので「甘めで」と答える。大理石っぽいカウンターの模様と響き合い、とても美しい。写真で見た「AIYO」というロゴ入りのグラスじゃなくてちょっと残念ではありますが(ロゴ入りグラスは数が少なくなり、貴重らしいです)一口のむ。ああ、おいしいなあ。甘さがちょうど私の好みにぴったりです。
もうわかってしまう。ここが名店だと。


トースト。


品口回がファンに話しかけられている間、料理写真の苦手な私はここぞとばかりに何枚もトースト写真を撮りました。使えるかなあ、と思えたのはこれ。下手な鉄砲は数撃たなきゃね。いや、まあ写真のことはいいんですよ。

このトースト、なんで?っていうぐらいおいしいんです! 焼きぐあい、バター、ジャムが天才的なあんばい。ちょっと冷めてきてもずっとおいしい。丁寧であたりまえに何年も続けてきた仕事が、びっくりするぐらいおいしいものを生み出すことがあるんですよね。私はそういう、地味だけれどひと味ちがうものが好きだし、それをそっと提供してくれるお店が大好きです。


マスターがまたいいんですよね。たたずまいがいい。仕事のリズムや美しさは、浅草「アロマ」のマスターにも通じるものがあるなあと思いました。そういえば、どちらもトーストとコーヒーのおいしい店。


とても居心地がよくて、「(いいなあ)(いいなあ)(いいなあ)」と心の中で言うだけでは足りず、つい「いいなあ」とたびたび声が出ちゃう。

そんないい場所が、10月上旬、なくなってしまいます。

豊洲移転後は天ぷら屋さんとなり、喫茶店はもうおしまい、とのこと。マスターに「えっ、こんなにおいしいのに、喫茶店やめちゃうんですか!?」と前のめりで聞くと、「だって54年もやったもん、もう十分でしょ」と軽やかな笑顔で引退を匂わされてしまいました。期待と可能性を残しつつ、お疲れさまでした。来れてよかったです。

「また来てよ」
うぅ〜〜、閉まる前にもう一度行きたい!!

 

珈琲店「愛養」
築地市場内 6号館
日・祝・休市日 定休
3:30〜14:00(L.O.13:30)

とにかく暗いルビアン

2018-02-13

「純喫茶 ルビアン」です。
もう何度来たかわかりません。


2~3年ぐらい前に外装が若干変わってしまったのですが、


かつてはこんな感じでした。(2009年撮影)


壁の色があずきバーみたいな色に変わって、装飾テントが取り外されたんですね。
あの装テン好きだったんだけどなあ。
私の憶測ですが、プラザ宇野のオーナーさんが壁の色を塗り替えるよ〜って言って、ルビアンさんもじゃあこれを機にちょっと看板変えるか、ってなったのかもしれません。


ルビアンは店内がとにかく暗いのです。そこがいいのかもしれません。一人でぼーっとするのもいいし、誰かと来てもリラックスして会話がはずむ場所なのです。
常連のおじさんとマスターがカウンターのテレビ見ながらあーだこーだ言ってるのも最高なんですよね。とても落ち着きます。


おそらく外装リニューアルと同じタイミングでメニューも見直されたのでしょう。
「卵入りカルボナーラ」とかツッコミどころ満載のメニューも好きだったんだけどな〜


大きめの水槽がひとつなくなっていて、空いたところにこんなディスプレイが。
変わらないようでいてルビアンも結構変化しているのですね。


暗いアイスクリーム。


明るく補正。

アイスクリームとブレンド(ホット)という妙な頼み方をしてしまいました。アイスクリームをふつうに半分食べて、もう半分はあたたかいコーヒーをかけてアフォガード風にして食べました。エスプレッソではないけれどおいしかったです。


どうか、まだまだお元気で。