「いまどうしてる?」

2018-11-22

すっかり書き忘れておりましたが、2018年8月4日から 9月2日まで盛岡にあるCyg art galleryで開催された「アートブックターミナル東北2018」に参加しておりました。


わたくしのzineはこちら。
「いまどうしてる?」

twitterの下書きやiphoneのメモ帳に大量にたまった文章と、主役にはなれないけれど捨てがたい大量の二軍写真を選び、ふるいにかけ、本当は世に出るほどの力を持っていなかったはずの文章と写真が私の采配で組み合わされて、小ぶりな一冊に仕上がったのがこの本です。

  
(ぼんやりした写真ですみません)

 

うれしいことに、友人知人から面白いと言ってもらえ、売り上げもなかなかよかったようで追加納品もしました。ここを見ているかはわかりませんが、買ってくださったみなさん、立ち読みしてくれたみなさん、気にかけてくれたみなさん、リツイート等してくれたみなさん、ありがとうございました!(お礼はクドいぐらい言う)

年々出品される本がレベルアップしている感があり、見ごたえがすごかったです。展示構成もワクワク感があってよかったな。

 


バサッ

フェニックスがいました。
(特別出演:世界の貝 ボーイガール)

 


あちこち歩いたあとで、シメのコーヒーゼリーパフェ。(@ティーハウス リーベ)

 

盛岡来るたびに思うけど、いい街がすぎる。ここに住む人たちは、愛情深く、まじめで、生活を楽しむために日々の努力を怠らない感じがする。すごいなあと思う反面、自分を省みるとちょっぴり恥ずかしい気持ちになってしまうのでした。

 

※「いまどうしてる?」はCygさんで引き続きお取り扱いいただいており、オンラインでも購入可能です。残部僅少ですが…(増刷をがんばる)

すみません!!完売してしまったようです。ありがとうございます。追加納品まで今しばらくお待ちください。

宇宙 渋谷 岩手

2018-11-16

今、渋谷ヒカリエ8Fのd47 MUSEUMが岩手になっています。


岩手県の観光をデザインの視点からみる展覧会
「d design travel IWATE EXHIBITION」開催中〜!なのであります。


『d design travel 岩手』号。岩手の魅力がぎゅっとつまった一冊。(私物。自宅で撮影)


おなじみ、わんこそばの東家さんブース。壮観。


光原社。


みんな大好き、くるみクッキー。


北ホテルの浴衣やルームキーってこんなに可愛いんですね。
泊まってみたくなりました。


一関にある有名なジャズ喫茶「ベイシー」。あこがれ。


「うるしぬりたしろ」田代淳さん。
金継ぎ(漆継ぎ)された器が美しくて、しばらく見惚れてしまいました。
こんなに美しくなれるなら、いっそ壊れてみるのもいいのかもしれません。

そして…

お世話になっているCyg art galleryさんのブース。
小さなギャラリーのようになっていて素敵です。
そこに若干悪目立ちしている「平凡」の文字…


なんと、青森の食いしん坊OLこと私が作ったzine、『平凡』と『カーテン百景』(グレーにピンクの紐)も展示していただいております。岩手のみなさま、渋谷のみなさま、お邪魔してます!

ちなみに上の緑の本は、私のアイコンを描いてくれたイラストレーター工藤陽之さんの本だよ、ヒューヒュー🍉

展示物に手を触れられないため、中を見ていただくことはできないのですが、雰囲気だけでも見てやってください。今ほそぼそと製本していますので(手作りなのです汗)、できたらお知らせしたいと思います。

 

岩手を感じられるいい展示でした〜。やっぱり岩手って独特な良さがありますね。おとなりの県なのに青森とは全く違う文化がどっしりと息づいているのを感じました。会場内には岩手のお土産が買える期間限定ストアもあります。同じ8Fにあるd47食堂では岩手定食も食べられますよ〜。
行くべし行くべし。

 

d design travel IWATE EXHIBITION
〜12/3(月)
11:00〜20:00(入場〜19:30)
期間中無休 入場無料
ヒカリエ8F d47 MUSEUM

 

※撮影許可いただいてます

アチチ・アチ! 盛岡『モンタン』の「ア・ラ・モンタン」

2018-09-21

お盆休み中の暑い日、自分が出品しているZINEのイベントのため盛岡へ。

同じく出品者である二人の友人とともに、昼食をとろうとお気に入りの焼肉店へ行ってみたものの、大混雑。ダメだコリャ…昼食難民となった我々は暑い中ふらふらと盛岡の街をさまよいます。

桜山神社付近を歩いていると、以前からあるのは知っていながら特に気に留めたこともなかった「モンタン」の文字がやけにチラチラ。なんとなくコーヒーとケーキぐらいしかないお店だろうと思い込んでいたけれど、表の看板には「盛岡名物 当店オリジナル トマトスープのスパゲッティ 元祖ア・ラ・モンタン」と書かれてある。盛岡名物ねぇ。中の様子はいまいち見えない。どうする、アイフル。

入るしかない…私たちは暑さと空腹にやられていました。緑地に白の「モンタン」の四文字がひらひらと手招きして見えたのです。

「いらっしゃいませ、お二階へどうぞ」。お二階があるのだ。あがってみると意外と広い。そして何組かお客さんがいる。閑古鳥は鳴いていませんでした。

サッと見回して、特にこだわりのなさそうな「なつかし系の喫茶店だな」と感じました。80年代で時が止まっているようです。あだち充の漫画の中に主人公行きつけの店として出てきそう。マスターはティアドロップ型のデカ眼鏡に口ひげ、デニムのエプロン。ちょっとドジでつり銭間違えちゃうタイプだけど憎めないキャラ。主人公があらたまって悩みを相談するとわりと的確なアドバイスをくれる。(※妄想です)

さて。メニューを見ながらひとしきり悩んだあと、決めました。挨拶代わりに、やはり名物をいただかなくては!

「ア・ラ・モンタンと…アイスコーヒー」と言おうとしたら、店のおじさんは「アイスコーヒー」の部分をかき消すように「あとで小さいウンタラカンタラ…(早口)」と言い残して立ち去ってしまいました。

「食後に小さい飲み物がサービスでつくんじゃないの?」と友人談。そうだといいんだけど。

 

ふざけて写真などを撮っていたら、料理が運ばれてきました。

これが盛岡名物「ア・ラ・モンタン」だ!
涼しげなガラスの器。暑い日にぴったりですねえ。
料理写真を見て「ガラスの器だから冷製かもしれない」と安易に考えた私は、事前にあまり詳しく聞き込むこともなく、まあどっちでもええわとオーダーしてみたのです。

結果、アッツアツのやつが来ました🔥(冷たいのもあるようですが、基本はこれ。)

麺は、早くしないとのびちゃうよ!という柔らか太麺。アルデンテという概念は存在しません。おぅおぅ、これこれ、なつかし系喫茶店の感じが出てる〜!アチチッ。 麺が香ばしいのは茹でただけじゃなく炒めてあるからかな。うぉ熱っ。にんにくの香りが効いた、じわりと辛味のあるトマトスープにたっぷりチーズ。いい味してる〜。はふはふ。

汗をぬぐいながら食べすすめていくうちに「なるほどこれは名物だ! ふーふー」という気がしてくるから不思議だ。どんどんクセになっていく味なのです。

っていうか、ずっと熱いのですが!!全っ然冷めない!!

ああ、ア・ラ・モンタン、ア・ラ・モンタン。あなたは一体なんなのでしょう。元気が出ます、不思議です。なんだかよくわかんないけど、うまい。なんだなんだと思いながら結局ほとんどスープを飲んでしまいました。きっと盛岡っ子に昔から愛されてきた味なんだろうなあ。時々むしょーに食べたくなりそうだもん。

 

ふう…

「小さいウンタラカンタラ」が来ました!
お冷のグラスにアイスコーヒーが入ってます!笑
実際このぐらいでちょうどいいんだよね。うれしいサービス。
(※食べ終わったあたりで若い店員さんが「サービスでコーヒーがつきます。ホットとアイスどちらがよろしいですか?」と聞きに来ます。コーヒー以外はなさそうです)

なんだかんだでモンタンを満喫してしまいました。

窓からの眺めもいいし、昼の混雑時をずらしてゆっくりするのに大変よさそうなお店だと思います。

 

モンタン
10:00~21:00
日休(例外あり。桜満開の時期は日曜も営業)

 

 

ほんとうにいいところですねえ。

2018-04-19

3月25日 盛岡市。


雪解けでエメラルド色の中津川、圧倒的主役感のイチョウ、いつも通るたびになんか好きだなって思うマンション。

 

Cyg art galleryで「雲は透ける、ペーパーナプキンにあこがれて」鑑賞。

やべえ、かなわねえ。っていうのが感想です。

まずタイトルがいい。ふわっと光ってる。フィルムで撮った爽やかな写真の感じがする。フライヤーなど宣伝美術もよかった。会場に入った時の空間のインパクトもよかった。天井からぶら下がったり壁にくっついた色とりどりの懐かしいものたち。風船、キーホルダー、バドミントンのラケット、習字の道具入れ…これらのものがバラバラなようでいて絶妙に美術的なバランスを保っていて、きっと金氏徹平さんもビックリだろう。

村田青葉と工藤玲音(敬称略)という東北の若き才能が満を持して出会った。強い者同士が出会ったとき常にそうであるように、やあやあと握手したあとは、おそらく牽制したりぶつかったり背中を向けたり譲り合ったり譲れなかったり丸め込んだり込まれたりしたのだろうと思う。そんな二人のエネルギーが周りを大いに巻き込んで形作った複雑で大きな渦の中に観客として立ち会えたことが私は嬉しい。ラストなんてさー、あれあれあれ?って思ってるうちに息をのんで胸がカーっとなってやばい泣く、泣く、泣く!って涙が出てびっくりして、隣の席の友人に絶対に笑われると思ったから焦って目を乾かしたりした。
こんな感情の放出にまかせただけの文章なんて0点なんだけど、しょうがない。震えちゃったんだから心が。

4人の役者さんがまたそれぞれに雰囲気があって、どの人もいい顔をしていた。衣装もよかった。セリフや動きを覚えるの大変だったべなぁ〜と思いながら、引き込まれたり、突然現実に戻ったり、ぼーっとしたりした。なんでこんなこと思い出すんだろ?っていう、昔の、なんてことない出来事の記憶とか、取るに足らない会話とか、その時の空気感とか、鳴ってた音とか、差してた光とか。そういう、どうってことないけど何かの拍子に引っぱり出される記憶について思いを馳せながら、自分もふっと過去に行ってしまいながら観ました。
で、ぼんやり思い出したのが高野文子の漫画『奥村さんのお茄子』っていう話。これが私、大好きで。すこし不思議なSFなんだけど、その時その瞬間に存在したすべてのものに対するあたたかい眼差しが感じられて好きなんです。すべてがそのままであっていい、というか。その瞬間そこにあなたは居たし、それは確かにそこにあったよね、ということを丸ごと愛おしむ、みたいな。読むと毎回どうしても泣いてしまうんですよね。私はすぐ宇宙的な愛に目がくらんで感傷的になりがちなんだけど、頭のいい人だったらもっとSF寄り/理系寄りのカッチリした解釈とか文学的な議論もきっとできるんだと思う。この公演もそう。そうやって色んな方向から楽しめるのがいい作品の特徴だなあと。詩的(私的)に寄りすぎることなくちゃんとエンターテイメントになっていて私は楽しめました。あとなんか、がんばろうって思えたんですよね、このいい年をしたおばさんが純粋に。ぜんぜん手を抜けないなっていうか、いかんいかん、疲れてるからってぼーっとしてちゃいかん、って。前回、村田青葉くんが主宰する劇団ユニット せのびの公演を観たあとも猛烈にそう思いました。この不完全な自分を背負ってがんばっていこうって。

ブックレット買ったんですけど、これも面白いです。公演を観ていなくても冊子として楽しめるんじゃないかしらどうかしら。袋とじになっているので金具をはずして広げて全部見るべし。シナリオの一部や写真、作品を練り上げていく過程の青葉くんのメモが、天才の思考の一端を覗き見してるみたいで興味深いです。玲音ちゃんの走り書きは、ずっと噛んでてもおいしい味が出てきてクセになる。二人の頭の中はどうなってるんだろ、まったく。

「同じタイトルで工藤玲音が戯曲を書いたらどうなるか」ってことで書き下ろされた戯曲の方の冊子もよいです。どっぷり玲音ちゃんの世界に浸れる。玲音ちゃんの文章って読んだあとスーっと、うすーいかすり傷みたいのができる感じがする。悪い意味じゃなくて。この戯曲は上演されることはないのかな、どこかで観てみたい気もする。

冊子はこちらで買うことができます。

「雲は透ける、ペーパーナプキンにあこがれて」メイキングブックレット&工藤玲音 書き下ろし戯曲

 

初めて行った岩手県立美術館の通路を広角レンズで撮りました。きゅっと指でつまんでぐいぃっと引っ張ったみたいになって気持ち悪い、酔いそう。つまんだ指を離したらぎゅいーんってこっちに戻ってくるんじゃないの、怖い。

なんじゃここ!っていう面白い空間があったので、許可をいただいて写真を撮りました。
なんかウケるよね。

 

行けなかった場所、会えなかった人もいて後ろ髪引かれる思いでしたが、いずれまた。行ってみたかった本屋さんも行けたし(いいところだった)、満席であきらめた喫茶店にも三度目の正直で入れてゆっくりできたし、お散歩も気持ちよかった。かれこれ10回は行ってるけど毎回思います、いやあ盛岡ってほんとうにいいところですねえ。

 

蛍の光 第3回 旧岩手教育会館

2018-03-27

旧「岩手教育会館」(盛岡市)

1965年 竣工。(菊竹清訓建築設計事務所)
2015年 建て替えのため解体。


一部がせり出していてかっこいいです。


ゆる〜く湾曲しています。


定礎までいい。

2012年6月、本のイベントのために来盛した私は、以前から雑誌等で知っていたこの建物を実際に見てみたくなり、訪れました。スッとすました顔で街なかにデ〜ン!と鎮座するその迫力に驚き、これは広角レンズじゃないと上手く撮れないぞ、だが私は広角レンズを持ってない!などと、じりじりしながら向かい側の芝生に寝転び、グラビアアイドルを追っかける熱心なファンのおじさんよろしく鼻息を荒くして下から舐めるように撮りました。すぐそばの盛岡城跡公園(岩手公園)から撮ったほうが効果的だということを後に知りましたが当時はなんの予備知識もなかったため、あくまでも接近戦。ファインダーにおさまりきれない被写体を抑えきれない衝動だけで撮りました。この日は中に人がたくさんいたので内部の撮影は遠慮したのですが、翌年改めて内部を撮影したものが…えーと、あるにはあるのですが、友人とふざけて撮った写真しかなく、まさかそのあと建て替えのために解体されるとは思わなかったので完全に失敗です。こういうとこツメが甘いです。中も素敵だったんですよ。


くるりんとしたフォントも可愛い「カフェテラス 白鳥」 (2013年5月撮影)

 

建て替えの理由をざっくり書くと、公園から岩手山を眺められるように4階建ての建物にしよう!ということらしいです。つまり、本来は盛岡城跡公園(岩手公園)から岩手山が見渡せるのですが、この7階建ての建物が邪魔になっていたようです。公園側に立つ人にとっては邪魔かもしれないけれど、この建物内の人たちには城跡公園も岩手山も見れてさぞかし絶景だったことでしょう。
実際、公式ホームページの概要には

広大な庭園「盛岡城跡公園」。その四季折々の景観は、当会館からの眺めに勝るところはないのではと自負しています。

という一文があります。そしてまた、私にとってはこの建物こそが絶景だったわけなんですけどね。でもまあ、見晴らしのいい公園から山を眺めたいっていう人が大多数なんでしょうね。うん、わかりますよ、山が見えたらうれしいですよね。

 

竣工から50年経って(建って)いたわけですから耐震基準の問題も含め、「お役目を終えた」という納得のしかたもあるのかもしれません。

いい動画を見つけました。ありし日の、活気ある岩手教育会館の姿です。

 

おや、蛍の光が流れてきましたね。そろそろおいとましましょうか。
なお、新しい岩手教育会館は、まもなく開館ということです。
(2018年3月27日現在 ヌーヨーク調べ)

 

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