可愛い私に旅をさせよ

2018-12-31

ずっと自己肯定感に乏しく、自己卑下っぽい物言いもさんざんしてきた私ですが、ときどき自分のことを「大切な誰か」のように感じることがあって、「◯◯してあげたい」とか「◯◯を見せてやりたい」みたいな気持ちになったりします。

みんなが紅白歌合戦を見ているであろうこの時、(本当は私も見たいけど)テレビのない静かな部屋で来年の星占いなんかをぼーっと見ていて、「2019年から7年ほどをかけて(中略)壮大な旅にでかけていくことになっています…」の記述にさしかかった瞬間、くわーっと胸が熱くなって、涙がぽろりとこぼれたから舟歌を歌い出さなきゃいけないネ。

まあそもそも人生は壮大な旅なんだろうけど、私のこれまでの旅は、平坦で似たような道を安全運転しているようでいて、突然自分で脱線させて大事故を起こして中断せざるをえなくなったり、また一からやり直そうとしても恐れや不安に行く手を阻まれたり目的地を見失ったり、あまりいい旅とは言えませんでした。とぎれとぎれで弱々しくて、これが私の太い一本の人生だ!と胸を張って言うことができなかったんですよね。だけど今年は、壮大な旅の始まりの小さな入り口の鍵のようなものをなんとか見つけることができたような気がしていて、ああ、ここから7年かけてやっていくんだ、やってもいいんだ、広がっていけるかもしれないんだ、と思うとこみ上げてくるものを止めることができないのです。そこから湧き上がってきた言葉がこちらになります。

「いろんな場所に私を連れて行きたい」

たくさん旅行に行きたいワ💛 ということではありません。
可愛い子には旅をさせよ、ですよ。
自分にいろんな景色を見せてやりたい、なんでもやらせてみたい、遠くまで連れていきたい、という気持ち。

私は私の人生をがんばる!というよりは、「私(という人)にいろんなことを経験させてやりたい!」という思いかたが私には合っている気がします。

自分のことをどうもいまいち愛せないという人も、◯◯さん(あなたの名前)を楽しませてあげたいとか、◯◯さんをここに連れて行ってあげたい、みたいに考えるとちょっと楽になるかもしれません。

めまぐるしい変化の時代、ガタついた体に鞭打ちながら軽やかに渡っていきたいです🏄
2019年、写真の展示、やります。

 

新しい年が素晴らしい一年になりますよう、ヌーヨークタイムズ読者様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます🎍

私は見た! 西本良太「ACTUAL SIZE」

2018-12-31

8月某日。
西本良太さんの個展「ACTUAL SIZE」へ。


DMがすてき。

素材は、ホームセンターでロールで売られているトリカルネットというプラスチックのネットだそう。形は寸分たがわぬカラーコーンやコンクリートブロックであるはずなのに、素材が違うだけで何なんでしょうね、この美しさ、面白さは。


差し入れでもらったというお菓子もこの通り。

次はどんな素材でどんなものを制作されるのか、とても楽しみです。

 

西本良太「ACTUAL SIZE」
2018.8.24〜9.15
渋谷(PLACE) by method

暗闇に光るもの

2018-12-19

小さい頃、暗闇がおそろしかった。夜、誰もいない和室をのぞくと火の玉がうごめくのが見え(るような気がし)たし、飾り棚の中の日本人形やこけしたちは闇にのまれて一斉にどこかへ消えてしまったのではないかと思えた。晩ごはんのあと、母に玄関の電気を消してきてと言われた私はタタタッと玄関まで行き、パチンとスイッチを切って、真っ暗闇になった廊下を 後ろを振り返らないように明るい居間のドアめがけて突進したりした。

ただの小さな臆病者だった私が、ある時から暗闇をまったく恐れなくなった。

30歳になるかならないかの頃だったと思う。「人は、自分の住みたい世界に住める」と突然気がつき、「幽霊など見えないし感じない」という世界を選んで生きることにした。暗闇の中に何かが見えるかもしれないことをもう恐れなくていい。私の決めた世界ではそれが見えないことになっているのだから。この世…というかあの世に幽霊や妖怪はいるかもしれないし、別にいてもいいとは思っているが、私の世界には「ない」というだけのことなのだ。もし私が闇を覗き込んでも、誰も、何も、闇の方からは私を覗き込まない。仮にあの世から覗き込まれていたとしても、私にはその姿が見えないし何も感じないのだから無いのと同じだ。

私たちはみんな、意識するとしないとにかかわらず、自分の住みたい世界に住んでいるのだと思う。

なぜ闇を恐れるのだろう。わたしたちはみんな闇から生まれ、闇の中で眠り、まばたきの一瞬一瞬に闇を感じているはずなのに。

なんてカッコつけつつも、夜の田舎での撮影は別の意味で怖い。誰一人歩いていないのも怖いが、誰かに出くわすことも怖い。こちらも怪しまれないように、用心して歩く。路地裏には立ち入らない。一か所に長くとどまらない。撮影は21時半までには切り上げる。

あちこちで粗品を差し出されるたびに「いらないなぁ…」と思うことの多い私だが、先日たまたま某所でたすき状の反射材を差し出され、「これ欲しかったんです!!」と珍しく食いついた。反射材ごときでこんなに喜ぶ人がいるだろうか。何かのついでに買われることもなく、人に外出と購買をうながすほどの力を持たないのが反射材である。そいつが向こうからやってきた、二つも。ありがたい。これで少しは暗闇で存在をアピールできるだろう。私はここにいますよ、怪しい者ではございませんよ、と。

いや、待てよ、向こうから歩いてくる通行人Aが「夜にこんなところでウロウロ撮影する人間などいない!」という世界に住んでいたとしたらどうだろう。

通行人Aが目撃するのは、暗闇の中をゆっくりと揺れながら近づいてくる真新しい二本の光るたすきかもしれない。

 

 

撮影地:五所川原市

🐓

2018-12-19

自撮りアイコン頻繁に変える人はなんなんですか。

🚽 カテゴリー

ごはんがおいしい! 高田馬場「ロマン」

2018-12-15

私はあらかじめ予定を組むのがどうも苦手で、気分で行動を決めることが多いのですが、突然呼び出しても来てくれる友達の存在はありがたいな〜としみじみ感じます。

能町みね子さんの“ミルクセーキ本” と、それをPRする動画で見てずっと来たいと思っていたのがこちら、高田馬場の「ロマン」です。来店したのは8月。ルンルンしすぎて看板などを撮り損ねてしまいました。ははは。中に入ってみると想像していたのよりも狭めかなあという印象です。

以前行った神田の「エース」の時も思いましたが、テレビや雑誌で紹介されていて「よく知ってる感」のある喫茶店って、実際に入った瞬間、あれっ小さめ!って思う現象あるあるな気がするんですけど、なんでだろ?ここは奥がゆったり広くなっています。

お腹ぺこぺこ〜。食べる気満々なセッティング。笑

サラダがきた。なんだかおいしい。

で〜ん。私が頼んだのは和風ハンバーグでした。

和風ハンバーグっていうと、おろしポン酢かなって思うじゃないですか。でもこれ全然違いました。お醤油ベースのソースで…あのー、すいません、あまり分析的に食べなかったのでわかりません!笑 でも、とてもおいしかったんです。ごはん、もりもり食べちゃいました。やや煮詰まりつつあるお味噌汁もなんか親戚ん家みたいでホッとしました。

ごはんものがおいしい喫茶店、強い。これは、ほかのフードメニューにも期待が持てますね。

食後のコーヒーと楽しいひととき。

私たちが最後だったので、ほかのお客さんがだ〜れもいない状態でこの素敵な窓とシートを撮ることができました。食堂車みたいで素敵です。よくドラマや映画のロケ地にもなっているようで、関ジャニ∞の方が座った席が聖地みたいになっているそうです。

ここは一人でくつろぐのにも良さそう。高田馬場に来ることがあったらまた寄ろう。

私は見た! 今井麗「gathering」

2018-12-11

私にとって大切な一冊となった、植本一子さんの『かなわない』。この本を手に取るきっかけの半分ぐらいを占めたのが今井麗(うらら)さんによるトーストの表紙絵だったと言ってもいいと思います。本の顔、大事。

(これにくすんだ水色の帯がついて本当に素敵なのです)

なんてことはない絵のように見えて、なぜか惹きつけられる絵です。明るく軽やかで平凡なようでいて、かすかに感じる違和感。本をじっくり読んだあとも、この中身にはこの表紙で間違いがなかったと思え、絵も中身もより好きになりました。

会期は2018年8月24日〜9月6日。場所はnidi gallery。
私が東京へ行くタイミングと幸運にも重なり、見に行くことができました。

ステンレスシリーズ(?)がとにかく気に入り、ほぼそればかり写真に撮ってしまいました(許可いただいてます)。何をどう描くか、どこまで描くかをちゃんとわきまえている感じがするし、とにかくセンスが良くて「いいなあ」ぐらいしか声が出ませんでした。

肉やホワイトアスパラの絵は、お財布が許せば本当に欲しかった。

しかしながら私の寂しい財布で買うのを許されたのはこの作品集だけでした。
朝、安宿の窓辺に飾ってみました。「もの」としても美しく完成された一冊です。

みかけたら是非!

 

今日はいつも今日限り

2018-12-07

「平成最後の…」などと最近よく耳にするけれど、
毎日が最初で最後じゃん。

2018年12月7日は今日で最後。
おやすみ、今日の日。