あの人にいやなことをされた過去があったから今の私になれた。とか、
あの苦労があったから強くなれた。
などと私が思うのは勝手だが、人から言われたくはないし、私は「あの人」や「あの人のおこない」を決して許すことはない。
だから、私にいやなことをされた人も私を許さなくていい。
どの界隈だろうと性暴力はあってはならない。地球上から性暴力がなくなってほしい。やっと声をあげられるようになったとよく言われるが、被害者はなぜこんなにも怒りや悲しみ、恐怖を抱え込まねばならないのか。傷ついた魂は傷ついていないふりが上手になる。覆い隠して遠くに追いやってしまえば見えなくなって都合がいい。忘れてしまえば平気で生きられる。でもそれはふとした拍子にあらわになる。昨日のことのような鮮烈さをもって暴力は今また私の目の前に迫って来る。あの時「小さな子」を助けられなかったことを悔やんで私は泣く。あの時の小さな子は女を捨てて生きること、決して他人を信用しないことを学んで大きくなった。それはとても悲しいことだ。私は私の世界を変えた暴力を許さない。思い切って打ち明けた時に「よくあること」と返してきた人たちのことも許さない。
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いまだに街や人を破壊し、血を流して戦うなんてどんな弱虫のすることだろうか。あきれて涙もでない。私たちが生きている限り、私たちは地球をこわし続けている。誰かのせいにして溜飲を下げる人たちも愚かだ。これは、紛れもなくわたしたちが作り出した世界だ。