日記

2020-12-01

昔好きだったあるパンクバンドのことを思い出し、過去の映像などを色々と漁っていた最中、YouTubeにおすすめされたこのPV。私にはかつてBOØWY好きだった過去があり(“あるパンクバンド” よりそっちのほうが古い)、当時は子供だったわけだけど、弘前のイトーヨーカ堂の新星堂で(お年玉で)買ったレコードはたぶん今もどこかにあるはず。このPVも発表当時2~3回見たことはあったものの、大人になってからは見たことがなかった。改めて見ると「本物」の手触りがして呼吸が苦しくなってしまった。「本物」に触れると私は呼吸が苦しくなって頭がくらくらしてくる。

この曲がシングルカットされたBOØWYのアルバムは『PSYCHOPATH(サイコパス)』といい、ジャケットにはエルスケンの写真が使われている。今ならなんてタイトルだ!と思うが、子供だったので意味などわからなかった。しかし子供ながらに「BOØWYはもう終わりかもしれない」と思っていた。まあ、難解な曲が多かったから子供には理解できなかっただけかもしれないが、どことなく風通しの悪さみたいなものを感じ取っていたのだった。

それでも『マリオネット』は売れたし、この『季節が君だけを変える』も耳に残る名曲で、アイドル好きの同級生が「あの曲いいよね」とわざわざ言ってくるほどだった。ポップな中に、誰の琴線にも触れやすい響きがあったのだと思う。なんといってもタイトルがいい。わかったようでわからないところがいい。今思えばバンドの方向性や別離を暗示していたのかもしれないが、当時はそんな想像も及ばず、ただただ詩的で謎めいたフレーズがかっこよかった。

この曲のシングルカットが1987年らしいので、多分PVもその頃に撮られたものと思われる。写っている人たちは(全員がそうではないと思うが)当時ファンクラブを通じて募った人たちらしい。

この淡々と生々しい撮り方はなんだろうか。私はこの映像を撮った人が誰なのか本当に知りたい。シリアスなポートレート写真集を見た後のような、あるいは報道写真のような冷たさと重さが残る。見ながらしばしば呼吸が苦しくなってしまった。

どうやらOKAMOTO’Sという若いバンドがこのPVのオマージュ作品を作ったらしい。

へー、なんか質感が違う。それにしても豪華な面々だこと! 似せて作られたとはいえ、全く別物になっているのが面白い。むしろこっちのほうが古く(懐かしく)感じる。ノスタルジックでほんのりあたたかい。鋭さはない。

もちろん、写っている人や時代背景や土地の違いもあるのかもしれない。BOØWYの方はおそらく新宿周辺だと思うんだよね。全体に流れる空気感がピリピリしてるのなんでなんだろう。ずっと居心地悪いよね。そこがいいんだけど。

思い出した、芸術ってほんと疲れるんだよね。純度の高いものが本気でかかってくるので、こちらも本気で受け止めなきゃいけない。いやはや、こんな国民的ポピュラーバンドのPVに純粋なアートが持ち込まれているとは思わなかった。BOØWYのほかのPVざっと見たけど、ここまでじゃないんだよね。本当に誰が撮ったんだろう。どうしてこういう映像にしようと思ったんだろう。気になる。

注:当初貼っていた動画が消されていたので新たに貼り直しました。