日記

2020-04-21

母の病院付き添い。行き帰り運転し、待ち、先生の話も一緒に聞く。母には申し訳ないと思われているようだが、私は仕事が休めるのでうれしい。うれしいと言うのは違うか。ただ仕事の種類が変わった、という感じかもしれない。気持ち的には別に苦でもなんでもない。むしろ同じ机に座ってじっとパソコン作業をしていることの方が私にはつらいのだ。

予約しても毎度のごとく診察までに2時間ほどかかる。紹介状を持って初めてこの病院を訪れた昨年11月の状況に比べれば、さすがに待合席の埋まり具合は減っているが、まあふつうに患者さんいますよね、って感じ。長椅子で、ほかの人となるべく離れて座っていても、向かい側の人がゴホゴホと咳き込んだりすると「oh〜」と思ってしまう。ていうか今気づいたけど、椅子を向かい合わせにしないほうがいいんじゃないかな。バスや劇場の座席みたいに一方向を向くように配置し直したほうがいい。

母の抗がん剤治療の間、私はいったん病院を出て昼食へ出かける。何にしようか考えた末、持ち帰りのできる飲食店を調べ、行くことにした。洋食も選択肢にのぼったが、今日はなんとなくチャーハンな気がして中華屋を選び、注文。パックに入った熱々のチャーハンを受け取り、「あっ、スプーンとかついてます?」聞くとお箸が入っていますと言われる。お箸でチャーハン。まあいいか。

広い無料駐車場に移動し、「よしよし」と車内でパックを開ける。ふわ〜、ええ匂いや…。割り箸でチャーハンをかきこむ。熱々でうまい。いろんな飲食店がテイクアウトメニューを始めていると聞く。となると、食いしん坊OLとしては、いろんな店のお弁当を食べてみた〜い❤️と思ってしまうが、あまり出歩かないようにしたい気持ちとの間にジレンマが生じて胸が苦しい。

食べ終えてホクホクした状態で、まだたっぷり時間があるのでシートを倒して休むことに。変わりやすい天気で、青空が広がったり、みるみる曇って風が強くなったり。スマホでAbema TVのニュース番組を見てみたが案の定コロナの話題ばかりだったので、暇つぶしに持ってきた『小説トリッパー』を読むことにする。たまたま書店で見かけた時、「あー、これかあ、これはずるいなあ」と思った小説トリッパーである。表紙の写真は今をトキメク奥山由之、アートディレクションは大島依提亜(敬称略)ときたもんだ。さらに挿画は網代幸介、さかたきよこ、鈴木いづみ、竹浪音羽、100%ORANGE(敬称略)。ははぁ〜。twitterなどでその存在は知っていて、引きが強ぇなあとは思っていたが、買おうとまでは思わなかった。しかし、実物を目にしてしまうと、「文芸誌なんか買ってどうするんだよ、家に積ん読が山ほどあるのに…」というヌマさん(私)のボヤキが一切聞こえなくなってしまった。ずるい。

ぱらぱらめくって、面白そうなものを読み始める。王谷晶さんの『ベイビー、イッツ・お東京さま』。不勉強で申し訳ないが知らない作家さんだったので何の先入観もなく読む。警備員をしている主人公が初めての現場へ行くところから小説は始まる。うっかり男性かと思って読み進め、途中で女性だとわかる。私の中に「警備員=男性」という思い込みがあったことが恥ずかしい。少しずつ明らかになっていく仕事場の感じや彼女の暮らしぶり、同人活動、ブログ、ハンドルネーム、同性愛、オフ会、セクハラ…

なんかもう、すごく面白いんだけど、同じだけつらさが襲ってくる。つらいと感じるのは、私にも多少覚えのある世界が描かれているからだと思う。この小説を「わかる」か「わからない」かで言うと、私には7割「わかる」のだった。田舎から都会へ出て、人生のうまくいかなさを経験したことのある人なら「わかる」と思います。おすすめ。

病院へ戻る。抗がん剤治療は(もちろん人によるだろうが)母いわく血管痛や手の痺れがひどいらしい。今日はどうだった?と聞くと「痛いよ〜」と苦笑い。片方の腕がずっとビリビリしているらしい。立ち寄ったコンビニで、いちごのフルーツサンドを「食べたい」と言うので買った。胃を3分の2取っているのでそんなに食べられないのだが、食べたいと言われたものはなるべく買うようにしている。本人いわく「そうでもなかった」ようで、半分残していた。

夕飯を作らなくていいように出来合いのものを買って帰る。病院の日は私も疲れてしまうのだ。ごはんの時間まで眠ってしまっていた。