しあわせのドラゴンフライ

2019-03-29

2008年の雑誌を見ていたら丸の内特集の地図の中に「ドラゴンフライカフェ」の場所が示されているのが見えて、あそこまだあるのかな、と思ったら2009年で閉店となっていた。

私が一度だけそこへ行ったのは東京に住んでいた頃のこと。通りに面した大きな窓と高い天井、開放的で明るく小ざっぱりとした店内。何年ごろだったのか、季節はいつか、何を食べたのかなどは記憶にない。だた一つ忘れられないのは、その店のちょうど真ん中あたりに細野晴臣さんが座っていたことだ。

そこだけ違う色をしていた。

仕事の関係者らしき女性と二人で向き合い、静かに談笑しているだけなのに、大人の余裕があって都会的でほんとうに素敵だった。その光景が一枚の写真みたいに焼き付いている。東京はそこらじゅうに有名人が居すぎて、いちいち誰も騒いだりはしないのだけど、たまに漏れ聞こえてくる細野さんのいい声に聞き耳を立てながら私と友人だけがそわそわしていた。そのせいで何を食べて何を話したのか覚えていないのかもしれない。

 

ドラゴンフライカフェはZUCCaプロデュースのカフェ(隣にショップもあって服も買えたような気がする)で、確か表参道にもあったはず…と思ったらそちらも閉店したもよう。

ああ しあわせの とんぼよ どこへ…

 

(細野さんを登場させておいて長渕さんでしめる)