私は見た! ゴードン・マッタ=クラーク展

2018-09-13

行ったのは2ヶ月以上前のことになりますが、ゴードン・マッタ=クラーク展でございます。

場所は竹橋の東京国立近代美術館。東!近!美!

暑い中、2万歩歩き回った末の鑑賞となってしまい、頭クラクラ、目しょぼしょぼ、足腰ガッタガタの状態でした。

さて、私がゴードン・マッタ=クラークについて事前に知っていたことといえば、「ロベルト・マッタっていうシュルレアリスムの画家いるじゃん、絵は正直好きじゃないけど、その人の息子で、家をまっぷたつにした人だよね?」ということだけ。

ただ単に、なにやら評判がいいらしい、ということで足を運んだわけです。
35歳で夭折し、作家活動はたったの10年ということはフライヤーで知りました。

そんな素人が、ものすごくテキトーに見たまんま書いていきたいと思います。

建物の床がくりぬかれております。
最初、え?なになに?どうなってるの?エッシャー?と思いました。


早稲田の建築学科の学生さんたちがダンボールで再現したもの。
あっ、ちなみにこの展覧会、写真撮影OKなので!(一部をのぞく)


窓はいいですよね。窓、わたしも好きです。


あれっ、ドローイング良くないですか?? えっ、絵も描けるの? ってそりゃ画家の息子だもんね。 ふつうにいいなと思います。


「ツリーダンス」。木の上で暮らそうとしたけど、許可が下りなくて一日限定になったという。その映像。


映像が多いので、時間に余裕のある時にゆっくり観るのがよさそうです。金土は夜9時まで。
(っていうか9月17日で終わりなんですけどね)

これこれ、唯一知ってたやつ。スプリッティング。(1974年)

私がかつて「なんだかわからないが、面白そうだ…写真を見ているだけでインスピレーションがわいてくる…」と背伸びして買った『岩波 世界の美術 コンセプチュアル・アート』に載っていました。(P258です。今確かめました)

資本主義という「社会的」構築物は、「受動的で孤立した消費者——ほとんど囚われの身の観客——の容れ物として、郊外型の箱や都市型の箱をばらまく産業機構である」

『岩波 世界の美術 コンセプチュアル・アート』P258

なるほど、それをまっぷたつにしたわけですね。


記録写真もふつうにいいなあと思いますね。


ぶった切られた家の角が展示されております。

NYのいい感じに朽ちた壁を撮影し、独特な色で新聞用紙にプリントしたもの。当時それを人に配っていたそうで、この展覧会でも一人一枚持ち帰れるよう用意されています。(おそらく数に限りがあり、現在も配布されているかは不明です)

港の廃倉庫に穴をあけた「日の終わり」


光が差し込んで、なんともいえず美しい。
(しかし無断だったため、NY市から損壊に対する賠償請求が検討されたそう)
行為自体は「破壊」なのかもしれないけど、そこに美が生まれるっていうのが面白い。


地下鉄のグラフィティをモノクロで撮り、プリントに着色したもの。この感覚。自分もやってる気になりたかったんだろうなあ。私が生まれる前後10年間だけ活動した若者がこんなことやってたっていうのがなにしろ驚きだよ。


会場設営も工夫されていたのではないでしょうか。もっと無骨にガチャガチャしててもいい気もするけど。このカーテンいいよね。


彼が仲間たちとやっていた食堂「FOOD」のプロジェクトは、記録写真や宣伝美術も含め、大変興味深かったですねえ。

なんかねー、疲れてるしなぁ、よく知らないしなぁ、まあすごい人なんだろうなぁ、でも昔の人だしなぁ、死んじゃってるしなぁ…みたいな気持ちがあったんです、どうしても最初は。

頑張って知ろう知ろう、もっともらしく鑑賞しよう、みたいな力も入っていて、眉間にシワ寄せながらテキストめっちゃ読んだりして。でもさぁ、単純に見ても「え、たった10年でこれだけのことをこの感じでやっちゃったの?」という驚きはあるし、悪ふざけのような笑える作品もある。記録写真や映像作品が多いのも、彼の「動き」そのものが作品であるがゆえのこと。

 

で、私は思いました。「かつてこんなすごい人がいた」ではなく、

今、この時代に、こんなことやってる人がいたら!?

って思ったら、ヤバイヤバイヤバイ!!!!ってなりませんか。
もし今こんなことを本気でやってる人が日本にいたらすんごい大騒ぎだと思うんです。保守的な日本人から見れば色々問題ありそうだけど、私から見れば最高にカッコイイし超おもしろいし絶対「FOOD」行くし、どっかで「スプリッティングやるよ」ってなったら絶対見に行くし、なにかしらのグッズ買ったり、雑誌で特集されれば買って読むだろうし、彼が「この曲いいよ」「この本面白かったよ」って言ってたら当然チェックすると思うんです。とにかく彼のやることなすことに触れていたいと思うだろうなって。

今この時代の東京でこの展覧会が開催されていることにすんごい意味がある気がしてくる。それをこんな田舎のOLがたまたま観れたってことがマジヤベェ案件だなと思います。そして、この展覧会を見た人たちが、ゴードン・マッタ=クラーク的な目線で街や物事を見たり、何か面白そうなことを考えたら「ちょっとやってみるか」って行動すれば、きっと世の中が面白くなっていくだろうなって。少しくらいは希望を持ちたいから、そう書いておくよ。

未見の方は是非!!!!!

 

ゴードン・マッタ=クラーク展

6月19日(火)~ 9月17日(月祝)
10:00-17:00(金土は10:00-21:00)