顔を上げろ

2018-05-11

ちょっと、読みすぎなのではないかと感じていた。

仕事ではほとんど一日中ディスプレイ上の文字を読み、印刷された文書を読み、資料を読み、間違いがないか注意深くチェックしながら新たに文書を作る。用事を足しに出た先では待ち時間にスマホで地方紙やネット記事、ツイッターでリンクされた面白そうなテキストを読み、置いてある雑誌にも目を通す。昼食後もスマホで何か読み、テレビの字幕を読み、仕事に戻ってまたディスプレイに文字を打ち込んで、読む。

退勤後はスマホのメモを見ながら買い物をし、帰宅後またスマホでツイッターか何かを目で追う。夜はブログに書くための文章を下書きし、それを読む。直す、また読む、消す、読む、ああ。

入浴中も読む。文庫本を持ち込んで読んでいた時もあったが、いつの間にかそれもスマホに取って代わった。kindleで、勉強のための実用書を読む。のぼせる寸前であがる。

皮肉なことに、一番読みたい本の出番は一日の終わりにしかやってこない。その頃にはもうとうにピークを過ぎた眼精疲労がシャッターを下ろす準備をはじめる。夢で会いましょう。

 

そんな毎日はどこかで破裂してほしい。

私の目は空を仰いだ。

「雲、動いてるじゃん!」と思った。やべえ、なんだこれ、すごいな、どんどん変わっていくじゃん。ただ雲が流れていくだけの光景を眺めて呆ける。ぜんぜん飽きない。どんな動画よりも面白い。心の奥底から、懐かしい生命力のようなものが湧き上がってくる。こんな時間を持つのは久しぶりかもしれない。きっと今も残業している人がいる、夕飯の支度に追われている人がいる、ぎゅうぎゅうの通勤電車で帰る人がいる、これから出勤する人がいる。私はこんなに何もしないで雲なんか眺めています。ごめんなさい、最高です。
下ばっかり見ていて気がつかなかった。顔を上げよ、空を見よ。雲は流れる。

 

(という文章をまた書いて読んで直して諦めて深夜2時…ばかみたい!!!)