日記

2020-05-03

夢の中でも毎日のように写真を撮っている。さびれた街並みや窓や洗濯物など撮るものまで同じだ。肩を並べるつもりはないが、森山大道さんもそうだと言っていた。よくカメラが故障するらしい。それもよくわかる。

私は大阪にいて、写真を撮っていた。あまり高級でないエリアで、崩れかかった住宅や潰れかけた商店、廃工場や荒地が続いていた。バラックが連なるところで外にタオルが5~6枚干されていた。いかにも労働者が汗をぬぐうのに使うような薄手でくすみきった色とりどりのタオルが風ではためいていた。私はそれを撮影しようとカメラを構えシャッターを押す。するとシャッター音ではなく、きゅいーんと妙な音がする。しばらくするとカメラから男性の声が聞こえてきた。機械的な英語でなにやら注意を促してくる。今度は女性の声に変わった。同じように機械的な英語で注意を促す。どうやら電池が切れたので交換しろと要求しているようだ。

蓋を開けてみると上げ底の電池が入っていた。見ると単2電池が4本必要であることがわかる。本来単2でなくてはいけないところを、細工をして上げ底にしてあるのだった。なぜそうなっているのか私には覚えがない。これは中古で買ったカメラなので、前の持ち主がそのように細工したのだろう。ともかく電池を買わなくては。雑居ビルの1階に暗くて狭そうで陰気なセブンイレブンがあった。単2電池なんてコンビニに置いてあるだろうか。電器店で買うより高そうだしなあ。なによりこのコンビニにはなんとなく入りたくない。

雑居ビルの階段をのぼってみる。居酒屋やバーが入っているけれど夜ではないのでどこも開いていないようだ。踊り場のようなスペースでsuchmosのヨンスが手すりにつかまってうなだれるようにタバコを吸っていた。

「あのー、地元の方ですか?」と聞いてみる。「そうだよ」とヨンス。人懐っこい口調だが目はうつろ。「この辺に家電量販店ってありますか?」「うん、あのね〜、大通りに出たら向こう側に〜、……があるから、右の〜……」ところどころ聞き取れずに何度も聞き返してしまう。それでも嫌な顔ひとつせず、身振り手振りを交えて説明してくれるヨンス。酔っているらしい。呂律が回らないのだ。

どうにかこうにか、それらしい場所へたどり着いた。そこも雑居ビルのようだ。階段をのぼり、生命保険会社がセミナーをやっている脇を通り、よくわからない洋品店を抜け、ようやく「ビックカメラ」の文字を見つけた。…ところで目が覚めた。

他人の夢の話は退屈ですか?

夢の世界で撮った写真も結構な枚数になっていそうである。起きて悔しがるほどいいのが撮れた!という時もあった。今の日本では見ることができなくなってしまった少し昔の風景などもたくさんあった。夢の世界の私にはぜひしっかりと写真の保管をしておいてほしいと思う。私が死んだ時にあの世で見せてもらいたい。しっかり現像して写真集かスライドショーにしといて〜。

知り合いの大工さんからタケノコやわらびをたくさんもらう。家族みんなでタケノコの皮むきをした。いつまでも揃って何かができるわけではないんだよな…と思いながら、せっせと皮むきをした。

コロナでたくさん人が死ぬだろう。ずっと休んでいるわけにもいかない。コロナにかかった人も大変だが、かからない人だって、そのうちばたばた倒れて死んでいく。共存していくしかないというか、かかる・かからないは運しだいで、そう諦めながら暮らしていくしかない気がする。店はどんどんつぶれ、街の様子も変わってしまうだろう。こうなることを私は東京の写真学校のゼミに通っていたとき、かすかに知っていた気がする。そうでなければ説明できないことがある。人や風景が失われるのはオリンピックのせいだと思っていた。感染症で世界中がこうなろうとは思わなかった。しかし、こんな状況で一年後にオリンピックを開催しようというのは正気の沙汰ではない。

すごい時代を生きることになっちゃったな。どう生きていこうか。いや、自分だって明日どうなるかわからないのだ。

さて今日の左手書き文字です。

若い頃死ぬほど聴いたGreat3を全曲シャッフルで聴いている。今ちょうど「Last Song」がかかってる。泣きそう。