乗り換えのために有楽町でいったん電車を降りて「有楽町か…」と思い、乗り換えのホームには向かわず私は出口を出てしまいました。
久しぶりに有楽町ビルヂングのタイルと階段を見ようと思ったのです。
健在。いやあ、素晴らしいよね。
私がこのビルを知ったきっかけは、雑誌『ELLE DECO』でした。その時たまたまコモエスタ八重樫さんがモダンな建築を紹介する特集「MOD EAST」というのをやっていて、そこに有楽町ビル1Fの喫茶店「ストーン」が載っていたのです。
これが現在のストーン。(なぜかこの一枚だけフィルムで撮ったので、まぎらわしくてすみませんが2019年2月撮影です)
経年劣化により安全性が保証できなくなったとかで、剣持勇デザインによる素敵な椅子は数年前に全て別のものに変わっています。
ELLE DECO→AXIS→LIVING DESIGNと場所を変えながら続いた「MOD EAST」は、2004年に書籍化されました。
「BGM for MOD EAST」というCDも付いているのですが、これがまたいいんですよ。
これが当時のストーン。かっこいいですよね。見た時は本当に震えました。
石をふんだんに使った壁。床のタイルの配列にもゆらぎがあってすてき。
この店のために剣持勇がデザインしたのかと思うほど椅子がマッチしています。
東京で暮らしていた頃、ストーンには何度か行きました。実際に行くとモダンでおしゃれな人は一人も座っておらず笑、ほとんどがサラリーマン風のおじさん達でした。同伴っぽいお姉さんとおじさんの二人連れが噛み合わない会話をしていたこともあったな。
当時は看板娘ならぬ上品な看板おばあさんがせっせとお給仕していて、私はぼーっと彼女が働くのを見ながらコーヒーを飲んで、持っていた海外小説を読むでもなく開いたり閉じたりしていた記憶があります。
この空間に身を浸すのが至福だったんですよね。煙草臭くはあったけど。
この本、ほかの場所もとてもいいので少しご紹介。
(なぜかプリンスホテルばかりになってしまった!笑)
その他、早稲田理工学部図書館、パレスサイドビル、前川國男邸、ビラビアンカ、中銀カプセルタワーなどなど良い物件ばかりです。ちなみに私の母校の旧校舎も載っています。
写真は伊藤愼一さんによるもの。どれも見事なアングルの美しい写真ばかりです。(私の偏見?ですがTOTO出版の本はお手頃なのに紙や印刷がよくてクオリティが高いと思う)
モダンなビル好き建築好きは当然所有していると思いますが、この『モッドイースト』(TOTO出版)、今見てもおすすめです。中古ですがamazonで定価よりは安く手に入るかと。
伊藤愼一さんが夕張を撮った写真集も良いです。欲しいな…
(このあとポチってしまった)
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さて、有楽町ビルに戻りましょう。
昔数回行ったベトナム料理店「サイゴン」がまだあって、なつかしかったな。味はあんまり覚えてないけど安かった記憶(なんかすいません)。
新橋とかもそうだけど、駅前のビルに漂うオッサン臭といまいち垢抜けない感じが私は大好きです。
タイルや階段やガラスブロックが前のまんまで安心しました。
いつどうなるかわからないので、今のうちにしっかりと見ておくのがいいと思います。